「もうお別れなんて寂しいわね。」



リーシャは、フィーネにハグをしながら別れを惜しんでいた。



「短い間でしたが、お世話になりました。」



フィーネはフィーネで、孤児院では味わえなかった家族というものの存在の大切さがわかった気がしていた。



「母上、そろそろ行かないと…。」



ゲキが精霊力によって動く術具(腕時計)を確認しながらいうとリリーは思いの外のんきだった。



「大丈夫よ。だってフィーなら瞬間移動があるし。」



場所がわからなくなることはない。


なぜなら、ウェルティフル学園は、アレクシア家から見える位置にある。



この家もそうだが、第一学園自体がでかいから。



「しかしリリーさん、私たち帰校受付をして、生徒会の仕事を考えるとそろそろ危険です。」



フィーネが言うが、斜め後ろにいるゲキの顔を見れば一目瞭然だった。



「最後までお母さんって言ってもらえなかったけど、また余裕があったら、いつでもいらっしゃい。

私もルーちゃんも大歓迎だから。」



「本当に、お世話になりました。」



深々と頭を下げて、家と、使用人さんと、ゲキの両親に感謝の意を表した。



そして



「上級術式、瞬間移動。」



再び舞台は、ウェルティフル学園へ。