「毬、大丈夫?」
雅之が柔らかく声を掛けた。
毬は今にも泣き出しそうな顔で俯いている。
「龍、毬のこと嫌いになっちゃった?」
「まさか。
心配してるんだよ、とても。
だから、あんなに感情的になってるんだ」
こういうときは、真直ぐに感情を喋れる雅之の方が強い。
「雅之も?」
「もちろん。
心臓が潰れそうなくらい心配だった。
毬が無事で良かった」
雅之が言うと、毬はしょんぼり俯いた。
「心配掛けて、ごめんなさいっ」
潤んだ瞳がいたたまれなくて、雅之は手を伸ばしてその頭を撫でた。
「龍星にもそうやってきちんと謝れる?」
こくりと頷いた毬の瞳から、一筋の涙が流れていた。
謝りながら、毬は昔もそんなことがあった、と思い出していた。
嵐山で過ごした頃。
崖から落ちて記憶を無くし、一月以上経ってから元の場所へと戻ったことがある。
皆、心配と不安で夜も眠れなかったと言っていた。
あの時、私はどうやって誰と過ごしたんだろう。
そこまで考えて、はっと我に返る。
先刻出逢った少年は、どこにいったのだろうか?
雅之が柔らかく声を掛けた。
毬は今にも泣き出しそうな顔で俯いている。
「龍、毬のこと嫌いになっちゃった?」
「まさか。
心配してるんだよ、とても。
だから、あんなに感情的になってるんだ」
こういうときは、真直ぐに感情を喋れる雅之の方が強い。
「雅之も?」
「もちろん。
心臓が潰れそうなくらい心配だった。
毬が無事で良かった」
雅之が言うと、毬はしょんぼり俯いた。
「心配掛けて、ごめんなさいっ」
潤んだ瞳がいたたまれなくて、雅之は手を伸ばしてその頭を撫でた。
「龍星にもそうやってきちんと謝れる?」
こくりと頷いた毬の瞳から、一筋の涙が流れていた。
謝りながら、毬は昔もそんなことがあった、と思い出していた。
嵐山で過ごした頃。
崖から落ちて記憶を無くし、一月以上経ってから元の場所へと戻ったことがある。
皆、心配と不安で夜も眠れなかったと言っていた。
あの時、私はどうやって誰と過ごしたんだろう。
そこまで考えて、はっと我に返る。
先刻出逢った少年は、どこにいったのだろうか?


