美希がハルの不在を気にしつつ、食事を終えて友人達と共に席から立ち上がった時だった。


「え?何だって?来店されたのは確認したんだよな?」

「はい。予約時間前にお一人だけで来店され、他の者が席にご案内しているのを見ました。でも、お連れ様はいらっしゃっていません」

「そうか…。で、いつから?」

「わかりません。オーダーを取りに行こうと思った時には、姿が見えなくて…。
お手洗いにでも立たれてるんだと思いました。でも…。
いくら何でもおかしいですよね?
もう二時間近く経ちますから…」


ハルが座っていた奥の席の近くから、ウエイターと店長らしき男性の会話が聞こえて来た。