Phantom (ファントム) ~二人の陽人〜


 
ふらふらと立ち上がると、よろけながら森の中を彷徨うように歩き続ける。
時間がどのくらい経ったのかもわからない。


誰もいない。
聞こえるのは、時折、けたたましく鳴く鳥の声や羽音、風が木の葉を撫でる音くらいだ。



ハル…
あの時、お前は「愛してる」と言ったのか?
それとも、そう聞こえてしまったのは、俺の自惚れなのか?


ちゃんと教えてくれよ。

突然、そんな言葉を投げつけたまま、勝手に居なくなるなよ。

俺は…どうしたらいいんだよ…