「お前の強い愛情と、その素晴らしい自己犠牲精神に感謝するよ。
では、望みどおりにしてやろう」


デイビット伯爵はハルの背後に座ると、後ろから左手でハルの胸を抱き、右手で顎を掴んで、自分の方を向かせた。
そして瑠璃色の瞳で、じっとハルの目を見つめた。

そして、ニヤリと笑うと、今度はハルの顎を持ち上げ、首筋にスーッと舌を這わせた。

あまりのおぞましさに、身震いがして、ハルは顔を顰める。



アキ…これでお別れだ。
もう二度と会えることもない。

俺の命が消え失せても、
お前が俺を忘れたとしても…

俺がお前を愛した事実だけは、絶対に消えはしない。


ハルはきつく目を閉じて、最後にアキを思い浮かべ、覚悟を決めると息を止めた。



そして…

その白くしなやかな首筋に、鋭い牙が突き立てられた。