大きく息をして呼吸を整えると、ハルは顔を上げて男を睨み付ける。


「…俺が……お前に命を差し出せば、絶対にアキを殺したりはしないんだな?
それを約束できるんだな?」

「ああ。やっと見つけたんだ。愛してるんだよ、彼を。
私だって命を奪いたくはない。

あぁ、そうだ…
大切なことを教えておいてやろう。
アキが私を愛するようになれば、お前の記憶も、自分が生きて来た時代の記憶も、全て消えてしまうんだ。
私の側で、自分の与えられた環境に何の疑いも持たず、全てに順応する。
素晴らしいと思わないか?
お前が居なくなって、彼が悲しむこともない。
だから、彼にとっても苦痛はない筈だ」