ドンッ!
突然、鈍い音と共にハルの背中に強い衝撃が走った。
いきなり背中に走った痛みに、瞬間、息が止まる。
そしてハルは、太い木の幹に身体を叩き付けられたことを知った。
羽交い締めにされていた姿勢から、
それは目にも止まらぬ速さだった。
「うぅっ…」
顔を顰め呻きながら、木の幹に背中を預けてハルは崩れるように座り込む。
その前にしゃがみ込んだ男は、片手の親指と人差し指で、その喉元を押さえつける。
たった二本の指で押さえ付けているだけなのに、ハルは、呼吸もままならない状態になっていた。
「お前に、所詮ただの人間のお前に!
どうやって守れると?!」
鋭い眼力のこもった瑠璃色の瞳で強く睨まれると、ハルの身体は硬直して動けなくなった。
「悪いな…。どう足掻いてもお前達人間は、私達の力に敵う訳などないんだよ」
「くぅっ…うっ…」
ハルは必死になって身体を動かそうと試みるも、身を捩ることさえできない。
全く無駄な抵抗だった。

