「心配は無用だ。私は愛する者を殺める事などしない。
但しお前には犠牲になって貰うがな‥」

「愛する者?…どういうことだ…」

喉元に突き出されたままのステッキを掴んで押し戻し、立ち上がろうとしたハルだったが、逆にステッキを胸の前に横にして押さえられ、そのまま背後に回ったデイビット伯爵に羽交い締めの状態にされてしまった。




「私は…アキを…日浦陽人を愛してしまったんだよ」

「え?何だって?」

「何百年もの間ずっと、私は愛する者に出会うことなどできなかったのに…。
やっと見つけたんだよ。

私は普段、人間界に紛れ込んで生活している。たまたまお前らと関係のある同じ業界でな。
知ってるだろ?彼が出演した外国製化粧品のCM。あの役を抜擢したのは私なんだ」