気がつくと湿った地面の上に、うつ伏せで倒れていた。
身体の下には、ゴツゴツとした木の根や、無数の枯葉があった。

ゆっくり頭を上げ辺りを見回したハルは、鬱蒼とした森の中にいるのに気づいた。
ぐるりと目を動かしてみても、乱立した木々以外のものは、何も見当たらない。

背の高い木々に回りを取り囲まれていて、頭上を覆い尽くす木の葉の隙間から、月灯りが漏れている。



…どこだ?…ここは…
…俺は何故こんな場所に?…

意識を呼び戻そうとしても、混乱する頭の中はうまく働かない。
痛む頭を振り、上半身を起こそうとした時、すぐ近くで枯葉を踏みしめる音がした。

ビクッとして音のする方へ目を向けると、瑠璃色の瞳の男が冷たい笑みを浮かべながら近付いて来た。
そして、うつ伏せの姿勢から起き上がろうとするハルの喉元を、持っていたステッキの先で押さえ、動きを制した。