アキは、意を決したように立ち上がると、ハルがあの男と共に消えた階段を駆け上がった。


階段を上がり切った奥の大きな壁…
ここに二人は吸い込まれるように消えて行った。

重厚な古ぼけた感じの木製の壁…。
中央に、観音開きのドアを黒い鉄で縁取ったようなデザインが施されている。

これは壁ではなく扉…?
近づいて触ってみると、扉のように見える場所の隙間から、冷気が漂って来る。

ハルは、この向こうにいるのか…?



アキは壁の前に立ち、強い眼差しで睨むと、その扉に両手を掛けた。