不敵な笑みをたたえながら、彼は後ろからハルの顎の下に腕を回し、拘束している。
ハルは苦しげに顔を歪めている。
「何なんだよ、アンタ! やめてくれーっ!ハルをどうするつもりなんだよーっ!!ハルを返せーっ!」
アキの絶叫がハルの耳に響く。
ハルの目に、身体を動かすこともできず焦って歪んだアキの表情が映り、胸が激しく痛んだが、もうどうする術も見つからなかった。
…もう、…これまでか……
この呪縛から、俺達は逃げられない。
アキとはもう…。
背後から捉えられたままのハルは、真っ直ぐにアキを見据えた。
「アキーッ!俺は…お前を…アキを、愛してる!」
ハルは、アキに向かって大声で叫んだ。