「なっ!」

その姿はどんどん数を増し、アキの目の前を高く低く飛び回る。

「何なんだよ!これ?!」



まるで昔観た古い映画、〝アルフレッド・ヒッチコック〟の『鳥』を彷彿とさせるようだった。

ある街に大量発生した鳥達が、人々を襲う話だ。小さな鳥ごときに…と思いがちだが、鳥達は大群になって人を襲い、死に至らしめるホラー映画だ。

思わずそんな映画の場面を思い出したが、耳に響くバサバサという羽音や、コウモリが目の前を飛びながら起こす風がリアルで、映画よりもはるかに気味が悪い。

「…いったい何が…」

その隙間から、懸命に逃げ惑うハルの姿が見え、アキはさらに驚愕した。