おそらくヨーロッパ系の外国人だと思われる老紳士は、申し訳なさそうに何度も何度も頭を下げた。

そのお孫さんだという少女も心の底から嬉しそうに大きな瞳でアキを見つめている。
透明感のある白い肌で、お人形さんのような可愛いらしい顔立ちに、銀色の巻き毛がとてもよく似合ってる…と思った。



「お役に立てたなら良かったです。それでは僕はこれで」


老紳士にそう言うと、アキは少女の頭をそっと撫でて微笑んだ。

「じゃあね。素敵なクリスマスを」

「うん、ありがとう。お兄ちゃん、メリークリスマス!」

少女の、まだ睫毛に涙が溜まった瞳は、すっかり明るい色になり、首にかけたロザリオの十字架を、嬉しそうに小さな掌で握りしめている。
アキは、それに心から安堵して、少女に小さく手を振り、老紳士に会釈をして背を向けた。