喜びを噛みしめるような表情で、ハルの手を握った後、そう言った彼女に、有り難い事だな…と思った。

こういうファンが沢山支えてくれて、今の自分がある。


しかし、その反面、これから先、もし恋人ができても、もう誰の視線も気にせずにデートもできないんだな…と、淋しい気持ちにもなった。


「あの…君達にはもうわかっちゃったから言うんだけど…、今から日浦陽人も来るんだ。Twitterとかそういうのには…」

「はい、勿論。ご迷惑かけるような事はしません。私達だけの素敵な思い出にします」

「ありがとう。じゃ、旅行、楽しんでね。素敵なクリスマスを」

ハルは片手を上げて軽く振ると、笑顔を見せた。

「ありがとうございます。ハルトさんも」

美希はとびきりの笑顔を見せ、深々と頭を下げた。
梨香と菜穂子も、ハルに会釈をすると、夢見心地で足元が覚束ない美希を、両側から支えるようにして背中を向けた。