その向こう側を見ると、自分達と同じ年頃の若いカップル。
社会人二、三年くらいの、同年代カップルといったところか…。
食事が運ばれて来るまでの待ち時間、プレゼントをたった今開けたであろう小さな箱と包み紙が、テーブルの上にある。
彼氏からのプレゼントは、彼女の胸元のネックレスか‥?
それとも左薬指に輝く指輪か‥?
胸元あたりで緩く巻かれた髪先が、笑う彼女の動きに合わせて揺れ、ネックレスの小さな煌めきをより華やかにしている。
「ありがとう。すごく嬉しい」
ハルが二人のテーブルの横を通り過ぎる時、彼女が左手を宙に翳して、指輪を見つめてそう言った。
誠実そうな彼氏は、彼女のその仕種を見て照れ笑いをしている。
…あ、プレゼントは、ネックレスじゃなくて指輪だな…。
そうだ、あの箱の大きさと形は、間違いなく指輪のものだ。
プロポーズでもしたのかな…。
誕生日やクリスマス等、大切なイベントの時にプロポーズするという話を度々聞くからな。

