同じ頃、ハルとアキもテレビやネットニュースが世間を騒がせているのを知った。
普段、人前に顔を出すことのない社長が、会見を開いて二人の無事を伝えてくれていた。
心配してくれた人達は勿論のこと、自分達のことで、こんなに沢山の人が動いてくれていることの凄さを思い知る。

 
「あの車の男性が通報してくれたんだな。俺達が後で説明に困らないように、筋書きまで考えて…。
けど、何だか俺の方が勇者みたいになってっけど、連れ去られたのを助けに来てくれたのはアキの方…。
ホント、大変な思いしてよく飛び込んで来てくれたよな」

「違うよ。結局、俺は何もできなかった。助けることなんてできなかったんだ。
でも、ハルは、自分の命を犠牲にして、俺を守ってくれた」

「決死の覚悟したのに生き返っちゃったけどな」

「茶化すなよ。お前が死んで、俺は気が狂いそうだったよ…」

アキはそう訴えると、ハルの腕を掴み、俯いてしまった。
腕を掴むアキの手は力強く、けれど僅かに震えていた。

「ごめん…。でも、結局、最後の最後は、アキのお陰で生きて帰ることができたんだ…ありがとう」