「全く問題ないなら明日予定通り決行したいけど、怪我をしているなら話は別だ。
歌ったり踊ったりするのが厳しいようなら、やはり延期にするしかないよ。
もう二人の行方不明やデイビッド氏による事件はニュースで報道されてしまったし、これだけの騒動の後だ…きっとお客さん達も理解してくれる筈だよ」

そう言われて、ハルとアキはまるで示し合わせたように、同時に「大丈夫です!やらせて下さい!」と叫んでいた。



着信やラインなどの履歴を辿り、方々に無事の連絡を入れた。

リーダーの青木は、全員でライブを成功させたいから、信じて待っていた…
と言ってくれた。
いつも穏やかで冷静な彼だが、少し声が震えているのが電話越しに伝わって来た。


後輩の松下は、電話の向こうで全く言葉にならない様子だった。

「松下、すっごい泣いてた…」

「そりゃアキのこと、兄貴か師匠かってくらい慕ってたからな」

「みんなにすごく心配かけたんだな…。ファンの人たちにも、きっと…」

「そうだな…」

「明日は本番だ。迷惑や心配かけた分、恩返ししなきゃな」