Phantom (ファントム) ~二人の陽人〜



グーーーッ…

ハルの言葉に被せるように、今度はアキの身体の中から空腹の虫が鳴いた。

「あ…」

「何だよ、アキ。折角いい台詞を言ってくれて、俺、感激してたのに。
やっぱ腹減ってるんじゃん」

「そりゃそうだよ。夜、豪華なディナー食べられると思って、昼もテキトーに済ませたんだからな。
ところで、今、何時なんだ?」

アキはベットの下に脱ぎ捨てられていたジャケットを探り、ポケットに入っていたスマホを取り出した。

「あ、充電切れてる。…て言うか、これ、生きてるかな」

「4時半過ぎか…。ファミレスくらいしか開いてないよな」

ハルが壁の時計を確認した後で、アキに充電器を差し出す。


「ハル…。あのさ…ごめん、プレゼントして貰った腕時計、壊れちゃったんだ」

「そっか…。ま、でも、今度また新作モデルのCMやるから、アキが気に入ったら来年の誕生日にプレゼントするよ」


「うん、ありがとう。
あ、スマホは何とか無事だったみたい」

「良かったな…。俺のはバッグごと店に置き去りになってる筈だからな…。
着信とか入ってるかな」