Phantom (ファントム) ~二人の陽人〜



グーーーッ……

抱き合った身体のちょうど真ん中で、どちらのものともわからない音がした。


「こんないいムードの時に…」

アキが身体を離してボソッとそう言うと、ハルの脇腹を拳で軽く小突く。

「仕方ないだろ〜?結局昨日、ディナー食べそびれたんだからさ。
折角いい店見つけたのにな…
評判もいいみたいで満席だったし、メニューも見たけど、美味そうだったぞ」

「そうだったのか…残念だな。俺が店に入った時には、もうあの状態だったからな。
あの店には悪魔が棲んでるのかと…」

「あれは、俺らがタイムスリップさせられただけだから、あの店は現代でちゃんと同じ時間に存在してて、お客も普通にディナーを楽しんでいたらしいよ」