それでも…
目の前にちゃんとハルが居る。
生きて、自分の前にいる。
これは紛れもない現実…。
もう他に望むことなんて何もない。
アキは目を閉じて、ハルの温かい体温と、確かな胸の鼓動をただ感じていた。
ハルは少し体を離すと、アキの顎から頬の辺りを両手で掴んで上を向かせた。
ハルの瞳は優しくアキに微笑みかけている。
どちらからともなく顔を寄せ、唇を重ね合わせた。
アキがハルの腰に手を回すと、ハルもアキの背中を優しく包んだ。
唇を何度も重ね直しながら、お互いの心と体がここに存在していることを確認するように抱き締め合った。

