アキもまた、ハルの胸の中で考えていた。

あの時、目の前で繰り広げられたあの惨劇は、本当に時空を超えて経験した事実…。

そして、ハルを失い、絶望感で意識を無くしてから、ストーリーの続きがまだあったなんて…。




あの時、横断歩道で掌に掬い上げたロザリオ…
少女の父親であるその魂に、俺達は助けられた。

俺のした事なんてたかが知れてるのに、俺達は命を救われたんだ。


その時の、掌のロザリオの感触を思い出しながら、アキは固く握った拳を自分の胸に押し当ててそっと目を閉じた。

そしてあの時、涙で睫毛を濡らしながら、嬉しそうに微笑む少女の笑顔を思い浮かべた。

あの時の少女の気持ちは、今の自分の気持ちと同じだったのだろうか…。