きっと二人とも、とてつもない絶望感を味わった。
それどころか、一時はこの世の終わりまで墜ちて行ったのだ。

けれど、命の危険に晒されたからこそ、お互いの気持ちを確かめる事もできたし、絆も深まったのだ。



一度は失くした筈の命が、今ここに確かにあること…。
確かに存在するこの心と身体で、大切な人を抱き締めていられること…。

ただそれだけが例えようのない歓びだと、ハルはアキの頭や背中を撫でその感触を確かめながら、感じていた。