「さ、行きましょう。私がお送りします」

「本当に戻れるんですか?」

「私はその為に来たのですから」



ハルはアキの肩を支え起こそうとしたが、アキは依然として力なく身体を投げ出したままの状態だ。


「あの…アキは、息はあるんですが、この通り、何をしても反応がなくて…。
大丈夫なんでしょうか…ちゃんと意識が戻るのか…」

「大丈夫です。今は、貴方を失った絶望感から心身共に疲れ切って、深い眠りについているだけです。
明日の朝には目覚めるでしょう。

さぁ、車に乗せてあげて下さい。
残念ながら私は、貴方がたに肩を貸したり、その方を抱えたりすることは不可能なんです」



その言葉の意味が、よくわからないままのハルだったが、もう深く考える気力さえ残っていなかった。