Phantom (ファントム) ~二人の陽人〜



夕暮れ時の街中は、人々で溢れ返っていた。
きっとこれはいつもの賑わいではなく、これから楽しい特別な時間を過ごす人達の往来。

中には、世間の浮かれ事など関係ないという人もいるのだろう…。
自分だって、クリスマスだからどう過ごすとか拘る気など全くなかったが、こうして時間を共有できる相手が居るという事は、幸せなことなのかも知れない。



街路樹には、気分を更に高揚させるかのように、イルミネーションが施されている。
温かい灯りに包まれている大通り。
ビルの向こう側に陽は落ちて、空は夜の色と混ざり合い始めている。
時折、吹き抜ける風も、どこか心地よい冷たさだった。