Phantom (ファントム) ~二人の陽人〜



近付いてみても、建物の中に灯りは見えず、それは暗闇の中にただ不気味な雰囲気を醸し出して佇んでいた。

レストランの両隣にあった、ジュエリーショップも、ブティックも、
建物の向こう側にあった大通りの街路樹に施されたイルミネーションも、
店の中に入る前に目にした光景は、何一つないのだ。




ハルは息を切らしながら、アキの半身を膝の上に乗せて、その場に座り込む。

こんなに必死に逃げたって、またあいつもここへ戻って来るだろう…。

アキを手に入れる為に、俺を追い詰めて捉え、異世界にまで連れて来た奴だ。

あいつが言っていた。
「所詮、人間のお前に」…と。
“ 人 ” ではない、魔力を備えたものの前では、ちっぽけで情けない俺達は、為す術もない。


絶望感が再び押し寄せる。