慌てて自分の身体を包んでいたアキの腕を外し、起き上がる。

彼の掌や顔のあちこちには、血の跡がついてる。
まさか…!



ハルは、アキの呼吸を確かめる。

大丈夫だ…
胸の筋肉は、微かに上下運動を繰り返し、ふっくらとした唇からは温かい吐息が漏れている。
血の跡は、俺のものか…
心の底から安堵し、アキの横にドサッと腰を下ろす。



眠っているのか?
睫毛は濡れていて、頬には涙の跡もあり、表情はとても苦しげだ。


あの時、俺の命が消えて行く事実を突きつけられ、アキは取り乱し、泣き喚いていた。

そんなアキに俺は、最後に愛を告げた。
思いがけなくアキも同じ想いだったと聞かされ、俺はもう思い残すことはないと思ったけど…。

残されたアキは、最後にそんな事を聞かされて…
余計に辛かったんだろうな…。
ごめんな…。


俺の最期を看取った後、絶望して意識を無くしてしまったのだろうか…。