「夢じゃ…なかったんだな」

目覚めて我に返ったアキは、傷がどうとか言って、俺の首筋に手を伸ばした。

そしてその後、額の汗を拭うアキの掌に刻まれた傷を見て、思わず彼の手首を掴んだ。

この傷は…

そう、俺はこの傷を知ってる…
そう思った途端、物凄いスピードで記憶がフラッシュバックした。



頭に引っ掛かっていた記憶のパズルの断片は、一気に結合し始め、完全な形になった。




目が覚めた後の異様な倦怠感に、何となく自分も悪い夢にうなされていたのだろうか…と感じていた。



でも…
夢…じゃ…なかった…。