暗闇の中で、アキがうなされる苦しげな声に気づき目を覚ましたハルは、跳ね起きてベッドに駆け寄った。


突然、目が覚めた時、今の今まで夢を見ていたような気がするのに、思い出せないことがある。
記憶の欠片が確かに頭の片隅に引っ掛かっているのに、それは呼び戻せないことの方が多い。

起き上がってすぐにアキの元へ駆け寄ろうとしたものの、今まで経験したことのないほど、頭が鉛のように重く感じる。

ふらつきそうになる身体を何とか抑えながらベッドまで行き、苦しそうにうなされているアキの名前を呼んだ。
何度呼んでみても、泣きながらうなされているアキは、一向に起きる気配がない。