その声に応えたい。
目を開けて、姿を見たい。
駆け寄って、抱きしめたい。

しかし、いくら呼ばれても、声が聞こえるだけで目が開かない。

チラチラと俺の頭上を照らしていた一筋の光は、だんだん細く薄くなりながら遠退いて行き、俺の周りはまた真っ暗な闇になった。


あぁ…そうか……
そういうことか…。

死んだのはハルじゃなくて、俺の方だったのか…。

あの時、ヴァンパイアに囚えられ、首筋に傷を負ったのは、ハルではなく本当は自分の方で、
混濁する意識の中、俺はきっと、深い暗闇の中で、悪い夢を見ていただけだったんだ…。

きっと…そうだ…。

だから今、俺はこんなふうに深い深い暗闇の底に居る。
もう二度と抜け出すことはできない…。



…でも…いい。
ハルが生きていてくれたのなら、俺はそれで…。