Phantom (ファントム) ~二人の陽人〜



そう言った後、青木は仲間たちに向き直る。

「それに…もう何年も、毎年一緒に一生懸命汗流して来たんじゃないか。
ハルとアキの帰りを信じて待ちたい。
そして、全員でライブを完成させたい。
戻って来た時にライブが終わってたら、アイツら、すごくガッカリすると思う」

メンバー達は、青木の言葉に納得した表情を見せたり、お互いに意思を確認するように仲間と顔を見合わせたりしている。


「あの…」

後輩の松下がおずおずと手を挙げる。

「まだ一回しかライブに参加してない僕が、たいそうなことを言うつもりはないんですけど…
去年初めてお話を頂き、練習に参加させて頂いた時、僕は正直戸惑ってました。
ダンスなんか経験もなく、歌も苦手な僕が、こんなの無理だ…そう思いました。

だいたい俳優としてやって行きたいのに、何でダンスや歌の練習にこんなに必死にならなきゃいけないんだ?って。
アキさんに “ きっといい経験になる。何かの糧になる筈だから ” と励まして貰ったけど、それでも、自分だけついて行けてなくて浮いてることに耐えられない気持ちでした」