まだ降り始めたばかりの雪の白は、暗いアスファルトに落ちては吸い込まれて行く。
寒さも一段と増して、メンバー達は首をすくめたり、腕を抱いたりしながら舗道を歩く。



「あの…明日は、ハルさんもアキさんも、絶対来れますよね?」

ライブメンバーの中で一番年下で17歳の松下が、心配そうに念を押す。

彼が年末のライブに参加するのは、今回で二度目だ。
まだまだ駆け出しの俳優で、経験も浅い。
アキが主演の映画に脇役として出演したのが初作品で、その後、アキのことを兄のように慕っている。

「バーターでも何でもいいんですよ。
最初は観客に顔さえ認知されないようなその他大勢の一人でした。
そこから、“ たまに出る友達の弟 ” と来て、その次は “ 実の弟” と、アキさんの背中を見ながら勉強させて頂いて、少しずつ距離を詰めて来たんです。
お陰様で、これでも少しずつですが出世させて頂いてます」

以前、みんなの前でそう言って、嬉しそうに笑っていた。
アキもそんな松下の気持ちを受けて、食事に連れて行ったり、可愛がっている様子だった。