「お〜っ!雪降ってるぞ、雪!」


12月25日。
ライブの練習が終わり、ダンススタジオを出ると、夜の空に雪がちらついていた。

ビルの灯りや街灯に照らされ、舞い降りて来た小さな粒は、翳した掌の上ですぐに溶けて行く。


「うわ、ホントだ!ホワイトクリスマスだぁ〜!ま、俺らには関係ないけど」

「だな…。何か雪なんか降られると、ロマンチック過ぎて、余計虚しいわ〜…」

「イブの昨日は、野郎同士で焼き鳥屋だったしな〜。あ〜可愛い女子とオシャレなチキン食べたかったなー!」

「我慢、我慢!今は演技の勉強積んどけ!…なんつって」

「流石だな〜先輩は言うこと違う!一生着いて行きます!」

「いいよ、一生着いて来られたら、それは怖いし困る」

先輩のシビアな一言に、そこにいたみんながドッと笑う。