魂が消え失せて脱け殻になったハルの身体はすっかり冷え切っていて、しかしまだ僅かに体温は残っている。
その体温と感触を感じておきたくて、
せめて覚えておきたくて、
アキはハルの頰を掌で包むようにそっと撫で、そして肩、胸、腕、指先と、涙を流しながらなぞって行く。



そして痛々しい首筋の傷跡を、指で優しく撫でる。

「痛かったな…。苦しかったよな…」

アキは、その傷跡に、
そして、最後に愛しい唇に、
愛を込めてキスをした。





悲しみの限界を越えたアキの心は、まるで壊れることを怖れるように、突然、機能を停止した。


アキは、ハルの身体を抱いたまま、深い森の中で意識を手放した。