「ハル…。雪が降って来たよ。…ホワイト・クリスマスだ。
まるでドラマみたいだな。
こんな出来過ぎな夜に、俺を一人にするなよ…」


アキの途方もなく大きな悲しみなど、まるで知ることもなく、その清らかな粒は、ハルの髪や閉じられた睫毛に舞い降りて、小さな煌めきを放っている。



「……違うな…。一人なのは、今夜だけじゃない。
これからずっと、ハルのいない世界で俺は…」


これから先のことを想像するだけで、絶望感が大きな塊となって押し寄せる。
ハルが居なくなってしまった空っぽの世界で、どうやって生きて行ったらいいのだろう…

一旦、収まった涙が、また溢れ出し、アキの冷たい頬を濡らして行く。