「ハル、お待たせ。車、こっちじゃないぞ。裏口」

「え?車?俺、今日は…」

「話合わせろ、遅刻するぞ。この状態でタクシー捕まえられないだろ?俺の車、地下に居るから乗せてってやる」

アキは、ハルの耳に顔を寄せて小声で言うと、腕を掴んで引っ張る。

「みんな、ありがとう!急いでるからごめん!またねー!」

ハルが笑顔を見せて、女の子達に手を振る。
一旦、背を向けたアキも振り返り様に彼女達に向かって右手を上げた。

「キャァァーーー!」

「見た見た?ハルの笑顔、キュンとする〜!」 

「アキの、クールなんだけどちょっと恥ずかしそうな笑顔も素敵よー!」

そんな黄色い歓声を背に、二人はスタジオの廊下に戻り、地下駐車場へと急いだ。