美希の腕を支えながら立たせようとした菜穂子の手を振りほどくと、美希は震える声で言った。
「嫌だ…。ハルが何か事件に巻き込まれたかも知れないのに、無事を確かめないと帰れない」
「お客様、先程は言葉が過ぎました。
あれはあくまでも最悪な事態としての私の勝手な想像と言うか…」
「でも、もしかしたらその最悪な事態が、本当に起こってるかも知れないじゃないですかっ!!」
「美希、お店の方を困らせないで」
取り乱している美希に同情しつつも、梨香が静かに嗜める。
「ごめんなさい…でも…」
美希は肩を震わせながら、両手を床について、深く項垂れてしまった。
「わかりました。でもお客様をずっとこの場にお引き留めする訳には参りませんので…。
この後のことは、警察に任せるにしても、解決するまできちんと報告させて頂きます。
ですから連絡先を教えて下さい。
必ずお電話を入れさせて頂きますので…」

