「日浦さん自身か、もしくは、お二人に関わる重大な出来事が起こり、藤崎さんが動転して慌てて出て行った…?」
「けれど、どこかへ駆け付ける為に飛び出したとして、いくら動転してたとしても、交通手段や連絡に必要な財布や携帯の入ったバッグを持たずに行きますか?」
店長の仮説にウエイターの水島が問いかける。
「私は、藤崎様が入店したのを見届けてから、二時間以上ずっとドアの前に居ました。
慌てて店を出て行かれた方はいませんでしたし、藤崎様が出て行かれたのなら気付かない筈はないと思うんです」
「正面玄関からは出ていない、ということだな」
ドアボーイの言い分を受けての店長の言葉に、ウエイターがハッとした様子を見せる。
「勝手口…ですか?お客様が自分の意志で店を出るなら、わざわざそんな場所からは…。
それにキッチンにはシェフ達もいますし、私達もフロアーとの間を行き来しています。誰も気付かない筈は…」

