Phantom (ファントム) ~二人の陽人〜



「あ、じゃいいです。ただ、これがね、外に落ちていたので…」

女性が細いフレームで青のレンズが入ったサングラスを差し出した。

「私達、二時間くらい前に、この前を通りかかったんです。
その時、アキにそっくりな人を見かけて…
他の通行人の人達が何人も “ アキじゃないの? ” と騒いでました。
でも彼はサングラスとマフラーで顔を隠していたので、周りの人達もザワザワするだけで、直接話し掛けに行った人はいなかったと思うんですよね。
その後、ここの階段を上がって行こうとしたのを見たんです」

「私達は、この先の別の店で食事を済ませて、またこの通りに戻って来たんです。
そうしたらこれが…。
多分、この辺りに落ちていたのを拾った誰かが、踏まれるといけないし、持ち主が気付いて取りに来るかも知れないとか思って、ここに置いたんじゃないかと思って…」

もう一人の女性が、外階段脇の植え込みのレンガの上を指差した。

「このサングラス、ちょっと変わった感じで、目立つというか…
アキなのか、似た方なのか、わかんないですけど、とにかくその人が掛けていた物だと思うんですよね」