半ば引きずられるようにしてついた先は入学式の日、城木くんと出会ったあの桜の木の下。
「はやくしないとあの恐ろしい軍団が追いかけてくんだよ」
なるほど…だから急いでたのか。
「城木くん、朝からすごかったもんね。」
「ああ。」
二人で並んで腰を下ろす。
「ほんとに、あたしとお昼食べるの?」
「いや、ここまで来てそれ聞くか?ふつう」
ですよね。
そんなやり取りをしながら食べはじめたお弁当。
ご飯を食べながら城木くんと話すのは意外と楽しくて、最初は嫌だと思ってたのが全然嫌じゃなくなった。
そして、ふと出てくる素朴な疑問。
「てか、城木くんさあ、なんであたしとお昼食べようと思ったの?」
あの場面でちょうど良さそうなのがあたしだったから、とか?、
「だって、あの恐ろしい軍団の中から選んでお昼食べるってゆったらどーせまためんどくさくなるだろ。なら、手っ取り早いのはその集団にいないやつとお昼食べることじゃん。優は優で、もともと食べる約束してたけどいろんな人に誘われてて、困ってたし、調度良かっただろ。」
なるほど、要するに、一番めんどくさくなさそうなのを選んだと。
「ですよねー。そんなとこだろうと思ったよ。」
「なに、なんか他のこと期待してた?桜せんぱい?」
はぁぁぁぁぁ!?
「なわけないでしょ!!!!」
「まあ、てことで、明日からも毎日ここで一緒にお昼な」
