「…ねぇ、ここが…、『向こう』の世界???なの?」

見た的にはなんか、、もう、滅びているみたいなビジュアルなんだけど、と考えてしまう。なんか…とても失礼かもしれない。

あんなに凛々しく救ってあげると言ってしまったが、


前言撤回

速攻 帰りたい。

だってここ、凄く綺麗だけど、なんか不安になるところなんだもん。

「アンジュ様、ここは『向こう』の世界、すなわち、記憶都市メモリーではありません。」


「え?!!!じゃあ、ここはどこ、私をどこに連れて来たの?!ここは何?」



「うーん…、取り敢(あ)えず、説明をしましょうか…、説明には、書く物が必要になりますねぇ…。うん、アンジュ様の『才能』のお手並み拝見させていただけることもできる…」



「ミルキー…?」


するとミルキーは深呼吸した。

「アンジュ様、色々と混乱していると思いますが、リラックスできますか?深呼吸して…、自分の部屋に居ると考えてください。部屋の景色、置いている物を思い出して…」


「…ん?うん、」


これも、なにか、ミルキーの考えがあるのだろう、すううと深呼吸して、頭を整理したのち、部屋に置いてあるもの一つ一つ思い浮かべた。


いつも寝ている白い、飾りのついているベッド。布団はふかふかで小花柄、その横には大きな窓。ドレープのふんわりとしたカーテンがかかっている。ドレッサー、イス、ぬいぐるみ、照明、色や、キズ、質感、事細かに記憶から引き出し、イメージする。



その時ミルキーの声が意識している世界に流れ込んでくる


「次になにか書き物がしたくなってきした。友達に手紙を書くのもいいですね。なにかペンや紙が必要になります。どんな物を手に取るかイメージしてみましょう。」

書くもの…


私は最近買ったばかりのうさぎ柄の鉛筆と、セットの消しゴム、A4サイズの紙を思い浮かべた

さらにミルキーの声が流れる

「それをアンジュ様はどこからか出したとします。さあ、手に取ってみましょう。」

私は無意識に手を出してみた。
手に持った感触…、リアルにイメージしてみた。
あれ?本当に持っているほどに感じてみた。持ってない?え、私、持ってない?

ミルキーの息を飲む声が聞こえてくる

「ア、アンジュ様…、目を開けて…頂けますか??」

ゆっくりと目を開けると
先ほどの空間、不思議な群青色の世界が見えた

…?
なにも変わってない?

私は、あたりをきょろきょろと見回した。


「アンジュ様、手元を見てください」

視線を下に落とすと、空想していたものと全く同じものを手にしていた。

!!?!?!?

私はパクパクと口を開閉した。

「うぇぇええ…」
なんなのこの世界。
なんでもありか。
驚きすぎることが続いたせいで叫ぶ気力も無くなっていた。