私はしゃがみこみ、ミルキーの視線と合わせ頭を撫でて、ニッコリと笑った。
私が貴方を支えてあげるわ。と。

するとミルキーは頼もしいですね、と笑った。

ミルキーは、気にしないふりをしてくれた。私の手と足の震えを。

それだけではなくさりげなく、その手を取り優しく手を握って

大丈夫です。

と魔法の呪文を唱えるように言ってくれた。

その瞬間、私は、ずっとミルキーを信じようと思った。
この人(?)は優しい。裏切ったり、しない。

でも、拭えない不安がひとつ。私は手を離す

「あなたの世界の事はなにも知らないわ。なにができるの?私に…。私にか出来ない事??それは…、何?」


「それは、アンジュ様、ご自身が一番知っているのでは無いでしょうか?」


「……どういう事?」


「アンジュ様の特技。好きな事は何でしょうか?」


それを聞いてハッとする。


いや、、でも、あんな事が、、役に立つの?信じられない。



でも私の一番の特技は…これしか考え付かない。





小さい頃から言っていた。
「私の頭の中にはね!!!素敵なものがいっぱいあるの!!素敵なお友達もいーーっぱい!私の特技はね…







空想だよ!!!楽しいの!へへっ!」








空想?

「空想…?でも、それが何の役に…。」

「アンジュ様、アンジュ様にしか出来ないのは、アンジュ様の空想です。










『向こう』の世界ではアンジュ様の空想は最大の武器と盾になります!!!!!」


ミルキーは確信したような顔で
もう一度私の手を力強く握った。


私はそれが嘘には聞こえなかった。
胸の奥から熱いものがこみ上げてきた。


空想が…武器…盾。



私の一番の得意分野。

「ミルキー、私、勇気が湧いてきたわ。できる気がするわ!!!!」

「できる気がするんではありません、アンジュ様は絶対できます!」

「…!!ええ、そうね!」


「じゃあ、『向こう』の世界、記憶都市メモリーに跳びますか。」

「うん!でもどうやっていくの?」

するとミルキーは小さな声で呪文のようなものを唱え、ゆっくりとオルゴールを開いた。すると、先ほどように鏡の景色がグルグルグルグルと歪む。

「今です。ここに飛び込むのです。行きますよ!!!!!!」

ミルキーは私の手を取ってダッシュした。私は前につんのめる

「ま、まっ、危なっ……わぁぁぁぁぁ!!!!!」







身体中が光に包まれる
眩しい。
目を瞑(つ)むる



身体の感覚がなくなる。



腕も、足も、胴の感覚も無い

目を閉じている感覚も無くなった。



まるで自身が光になったような…
心地いい…。




気がつくと、
身体の感覚がゆっくりと戻ってきた
胴、足、腕、
目を閉じている感覚。


ゆっくりと目を開けてみる。
どんな世界が広がっているのだろう。





そこは宇宙、のよう
群青色にたくさんの絵の具を垂らしたような沢山の色、色、色。ずっとずっと続いていく、先が見えない。
足元を見てみると、青々した輝く草が生えた3畳ほどの岩(惑星?)だった。周りにもポツポツと似た岩のような惑星が揺らめきながら浮いている。









「………わぁぁぁぁぁぁぁぁ?!!?!!?!なに、ここ?!ここが、『向こう』の世界?」

身体を動かし見回すと岩のような小さな惑星はぐらりと揺らぐ。

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!落ちる?!怖いッッッッ!!!」

そんな私をミルキーは呆れたような目で見つめてきた。

…そんな目で見ないでよ。
私は初めてここに来たんだってば。
怖いのは当たり前でしょう?