アンジュは遊び疲れて、ロココ調よ小さな白いイスとセットのテーブルが置いてあるバルコニーにつっぷして眠ってしまっている。

私は目を細め、彼女のふわふわの金髪を撫でた。

あんなに喜んでくれるなら部屋を作って大正解だったな、なんて思いながら。

それにしてもアンジュは本当に可愛い、最大級に可愛い。
今の寝顔は小さな天使のようだ。確か『アンジュ』という名は、天使、という意味だと『彼女』は言っていた。
本当にぴったりな名前だと思う。

『彼女』は『彼』と離れてても、こんなに立派にアンジュを育てあげた。
つくづく凄い女性だと感心してしまう。

…だからアンジュがこの世界に居るうたは『母』として育てよう。
そのためには甘やかしてばかりじゃいけないのかもしれない。だけど、その決断もアンジュの為になることと信じる。

親と離れてアンジュは生活するのだから、寂しくならないようにする為だ。部屋を作るぐらいは許容範囲だろう。これくらいは許される筈だ。

甘やかしているようだったらミルキーにでも注意してもらおう。うん、そうしよう。

…そろそろ昼食の準備をしなければ

外からの風は心地よいが、アンジュが風邪をひいてしまっては大変だ。

私はアンジュを抱き上げてベッドへと運んだ。

そして、振り返りニンゲン界に居る『彼女』に向かって

「アンジュを任せてね。」と呟いた。