アンジュと記憶都市

その時、いつものオルゴールの音では無い、とても美しい旋律(せんりつ)がアンジュの部屋を包んだ。

オルゴールの筈(はず)なのに、沢山の楽器…、ピアノ、ヴァイオリン、ハープのような数々のメロディー、、まるでオーケストラ、否(いな)それ以上の美しさ、心地よさ。

部屋が心なしか光が集まり明かりが灯ったような感覚。

さらに、オルゴールの中に収まっている歯車の中心に埋め込まれた石がチカチカと瞬きながらゆっくり、ゆっくりと回っていく。

私はとても、とても、美しい、不思議なとても現実とは思えない光景に目を見張り、息を呑んだ。

すると、オルゴールの中の景色がグニャリ、と歪(ゆが)んだ。

グルグルグルグル…かき混ぜているように。

「な、、なに、これ?!」

目の前の信じられない光景に目を丸くする。
このままでは今居る世界が、私自身が、何か、変わってしまうような、漠然(ばくぜん)とした不安がパックリと口を開け私を飲み込もうとする。

私は慌ててオルゴールの蓋を閉じようと手を伸ばす。



その時




私の不安は的中する。