アンジュと記憶都市



「どこから話しましょうか…、うーん、まずさ、メモリの誕生についてからがいいわね。」

サラが宙に手をあげ、本をつまむような動作をした。すると、背の高い本棚から本が一冊、すぽんっと抜けた。
そしてこちらへゆっくり飛んできて、サラの目の前で、ばさり、と開かれる。


『それ』はまるで、絵本のようで


本には美しい大きな挿し絵がついている。

あまりの美しさに息を飲む。


「記憶都市メモリーには、『メモリ』という生き物が住んでいます。ニンゲン界でのニンゲンのように。まぁ、文化は違うけれど。さて、アンジュさん、そこに住んでいるメモリはどのようにして生まれるでしょうか?」

サラは赤いメガネのレンズをきらり、と光らせる。



「はい!!!」


私は勢いよくぴんと手を挙げた。
ココはミルキーに教えてもらったところだ。当てて見せないと。


「アンジュさん、答えをどうぞ。」

手を私に向けるサラ。

「ニンゲンの空想からです!!!」
私は胸を張って自信ありげに元気いっぱい答えた。

しかしサラは惜しい、とでもいいたげな表情だ。

「…で、す、が、ニンゲンの空想がどのようにしてメモリになるかは…わかるかしら??」


……


「むぅぅ…。」

私は手を引っ込めた。完敗だ。
そこまでは分からない。


「ちょっと、ブタウサ、もしかしてそこまてましか教えていないの?!」


「あはは…は…。」

ミルキーは苦笑した。