すると、サラさんは自分の手を見て、「あら、」と言うと、私に笑いかけて「ちょっと待っててね。」というと、引き出しから小さなハサミと。ゴミ箱を用意した。


サラさんはイスに座る。



すると、サラさんは自身の手に小さなハサミの刃を近づけていく。







ザクッザクッザクッ

サラさんは自分の長い鋭い爪を切り始めた。




ミルキーが小さく叫ぶ言う。

「あっ、あのサラが…!!!自分の爪を切るなんて!!」


サラさんはゴミ箱とハサミを元の所に戻すと


「怖がらせてごめんね、これで、握手、できるかしら?ケガさせたら大変だものね、気づかないなんて不覚だったわ。」

そういうと、くすくす笑った。

私は、サラさんの優しさに涙がでそうになった。

サラさんはなんて優しいんだろう…!!!

爪を見る限りとても綺麗に手入れさせていたし、ネイルもとても凝っていた。きっと、いままで爪を大切にしてきたのだろう。

私が少し怖がってしまっただけで、サラさんは躊躇なく切ってくれた。私を気遣って。


「ありがと…う、サラさん…っ」

「サラさんなんて、堅いわねぇ。サラで良いわよ。アンジュ。」


「…ッ!うんっ!分かった!サラ!」


私は満面の笑みでサラに笑いかけた。







『向こう』の世界、記憶都市メモリーで、また新しい家族ができた気がした。