ミルキーが振り返った。




「ご紹介しましょう。こちら、私の同僚、記憶図書館司書をしております。サラでございます。」



…えっ


…このメモリがサラさん?!


「…あら、私の事を怖がっている様ね…。大丈夫よ。貴方を傷つけたり、ケガさせたり、ましてや食べるなんて、絶ッッッッッ対に無いから…。貴方の味方よ。安心してね。かわいこちゃん。」




そう言うとサラさんは笑いかけてくれる。




恐くない。
サラさんはすっごく優しそうだ。
それによく見てみると美人さんに見える。女性的な私を包んでくれるような笑顔。サラさんの頭部の毛は周りの体毛よりもよく伸びていて、まるでショートボブの髪型のよう。艶やかでさわり心地が良さそう。
それに来ている服は、フォーマルで、お洒落でかっこいいかも。


「綺麗…。」



するとサラさんは目を丸くして目を細めた。

「そんな事、無いわ…。でも、ありがとう。とっても嬉しい。『彼女』もあたしの事、綺麗って言ってくれたっけ…。
懐かしいわ…。貴方の金髪、青い目、本当にそっくり…。」



「…?」


サラさんは私の姿をまるで一枚の絵画を眺めるように、じっと見つめた。
ゆっくりと目尻が下がり、切なげに、でも何かを懐かしむように微笑む。











何故、私の周りの人達や、メモリは私を見て切なげな顔をするのだろうか。












「よろしくね、アンジュちゃん。」




サラさんの声で私の意識は現実へと引き戻された。


サラさんは手を差し出した

「うっ、うん!!!」

私も手を差し出そうとする。







?!






サラさんの手は犬のような手で肉球が付いており、長く鋭い爪に紅いマニキュアが塗られていた。小さなダイアモンドのような飾りが付いている。



鋭い爪にびっくりして、私は手を引っ込めてしまった。



サラさんも私の様子にびっくりしたようだった。



…どうしよう!!!
握手を拒否したと思われていたら。


サラさんを傷つけてしまったかもしれない。



私は戸惑う。



「あ、あの…っ!そうじゃぁ、無いの!ち、違うの…っっ!」

声が喉に引っかかって出てこない。



私の馬鹿っ!!!!