「身支度も終わった事ですし、『向こう』の世界に跳びましょう。世界を跳ぶのには、オルゴールが必要になります。この世にはオルゴールは3つあります。一つは、アンジュ様の部屋、もう一つは『向こう』で、残りの一つは私の本の中です。」

そういうと、ミルキーはリメンバーと唱え、本の中から私の持っていたオルゴールとよく似たオルゴールを取り出した。

「オルゴールを使って違う世界に跳ぶと、その世界にあるオルゴールの場所につきます。今回は、『向こう』の世界に居るサラという名の同僚がオルゴールを持っておりますので、サラの所に跳びます。」

私は想像してみた。サラさん…
どんなメモリなのだろうか?

名前からして、女性のメモリっぽい。
ミルキーのようにウサギのような姿をしているのだろうか?

わくわくする。




ミルキーが呪文を唱え、オルゴールを開く。


私とミルキーの身体が光に包まれた。

身体の感覚が無くなっていく……。






身体の感覚が戻り、

目を開けると、



驚きの光景が目の前には広がっていた。




円の形の広い部屋。



そこの部屋には、部屋を取り囲むようにぐるりと背の高い本棚が並んでいる。

そこには小洒落たテーブルとイスが置いてあり、部屋の中を沢山の本が浮かんでいる。



その空間に、オオカミのような人のような生き物が、浮いた開かれた本を眺めながら、足を組みティーカップを持っていた。


開かれた本は、自動的にペラリ、とページがめくられる。





「……き、きゃぁぁぁぁああああ!!!!!!!!」



私は思いっきり叫んだ。


円の部屋の中で私の絶叫がこだまする。






その私の様子とは対照的にオオカミのような生き物は、こちらを見て落ち着いた様子で


「ああら、いらっしゃい。」

と私とミルキーに挨拶をした。


「ただいま帰りましたー。アンジュ様をお連れいたしましたよ。」


とててててっと、ミルキーはオオカミのような人のような生き物にかけよる。


…だっ!だめ!!近づいちゃ!!!!食べられちゃうっ!!!










………あれ?

ミルキーは私の心配をよそにオオカミのような生き物となにやら親しげに話している。