「…なんか、よく分からないけど…カッコ良かった!!ミルキー、すっごおおおおい!!!!マジシャンみたい!



そう言うと、私はぴょんぴょんとミルキーの手を握り飛び跳ねた。

「それほどの事ではありませんよ…、メモリなら誰でも出来る事ですし…。アンジュ様のような『才能』もございませんし…。」

その言葉とは裏腹にミルキーはとても嬉しそうに照れ笑いをした。


「そっ!それより、身支度、身支度!!私は水は本の中にそのまま収納できないので水筒にいれてあります。赤い水筒は、飲水以外、青は飲水になっております。しっかり覚えていてくださいね。」

ミルキーは赤い水筒からお湯を先ほど出した洗面器の中に、流し入れた。

私とミルキーは、顔を洗い、タオルで拭いた。

私は顔を洗う際、ミルキーは顔を濡らすと水を吸ってなかなか乾かないのではと心配したが、

ミルキーの顔はタオルで拭いた後にはすっかりとかわいていた。


ミルキーは、ぬいぐるみではなくメモリなんだな。と今更実感する。

そして歯磨きを終えた後
ミルキーはまた「リメンバー」と言って本を現せてみせた。

「リメンバー、ダストシュート。」

そういうと本のページがペラペラと自動的にめくられる。

ミルキーはおもむろに汚れた水を本にかけようとする。

………本が濡れちゃう!!!!

そう思ったが、本が水をのみこんだように消えた。





私は思わずぽかんとした。




「何が起きたの?」


「あ、言ってなかったでしたっけ?この本には、ゴミ箱の機能もあって、いらないものを消失させる事もできるんですよ。」


「へぇえーーー!凄いのね!メモリって!」
思わず感心する。


数々の突飛な出来事が次々と起きたせいか、
私はちょっとやそっとの事で驚かなくなっていた。