学の手が私の腕を掴む。



「葉月、座れ。話しておきたい事がある。」



静かな学の声に私は動きを止めた。



「葉月、座れ。俺の話を聞いてくれ。」


「話?」


「ああ、俺の親父の話だ。」



チラリと視線を学に向ければ、じっと私を見上げていた。



「葉月、座れ。」



学の声に私は大人しくソファーに腰掛けた。学の手が私の頬を挟み、視線を合わせる。



「葉月、俺の親父は………。」


「…………。」


「飯島宗助。聞いたことないか?」



私は頭をフル回転させて名前を思い出す。



『飯島宗助?』



「誰?有名な人なの?」


「葉月もまだまだだな。SIZAコンサルティングのCEOの一人だ。」


「CEOの一人?」


「ああ。SIZAコンサルティングはSOUICHIRO-IIZIMA、ZACHARY-ALLENの二人で立ち上げた会社。」


「飯島………?」


「俺の親父は飯島宗一郎の息子、宗助。」