そういえば、と ある事に気付いた。 さっきまで鳴っていたはずのいつもの電子音がいつの間にか聞こえなくなっていることに。 度々聞こえるあの音はなんだろうと毎回思う。 似ているといえば、病室の心電図の音。 おばあちゃんの病室に入ると響いていたその音によく似ている。 それが聞こえなくなったってことはもうすぐ──。 ジャリ。 空き地内に踏み入れる音とともに荒い息遣いが背後から聞こえた。 反射的に振り向くと目を見開く幸太郎がいた。